なんだか最近、
世界中がダイエット中みたいにピリピリしている。
スーパーの棚を見るたびの値上げラッシュに、
スマホのニュースを開けば為替だの利上げだのという小難しい文字が並んでいて、
それを見ているだけで、
妙に胸の奥が重たくなる。
私の将来は大丈夫なのだろうか。
少しだけ残したお小遣いで、
週末に友達とカフェに行ったり、
推しのグッズを買ったりするささやかな楽しみさえ、
なんだか贅沢をしているような、
いけないことのような気がしてくる。
世の中の大人たちがこれだけ焦っているのだから、
きっと大変な時代に生きているんだ。
そう思うと、
余計に気がめいって、
布団の中でぼんやりと天井を見つめる時間が増えていた。
けれど、
いつまでも怯えてばかりいられない。
そう思って少しだけ経済のニュースをちゃんと読んでみることにした。
日本銀行は2024年に長年続いた大規模な金融緩和政策を転換し、
その後も段階的に利上げを進めてきた。
そして2025年12月には、
短期政策金利を約0.75%へと引き上げた。
ニュースでは、
これが経済の
「正常化」だと言われている。
日銀としては、
これまでの超低金利という異常な状態から、
経済にとって中立的な水準――だいたい1%から2.5%のレンジを意識しながら――金利を本来の位置に戻そうとしているらしい。
要するに、
これまでの
「アクセル全開」から
「そろそろ普通の速度に戻しますよ」というフェーズに入ったということだ。
これを何かに例えるなら、
やっぱり
「ダイエット中のカロリー制限」がいちばんしっくりくる。
これまでお金という名のカロリーがジャブジャブと潤沢に供給されていて、
いわば代謝がバグるほど甘やかされていた経済の身体。
そこに
「ちょっと食べ過ぎだから、食事量をコントロールしようね」と、
お医者さんからブレーキをかけられた状態が今回の利上げなのだと思う。
身体を健康な状態に戻すための正しいカロリー制限。
理屈としてはすごくまっとうだし、
必要なことだって頭では分かる。
ただ、
ふと思うのだ。
市場で起きている激しい株価の乱高下や、
投資家たちがパニックになっている様子を見ていると、
それって本当に冷徹な経済システムが不具合を起こしているだけなのだろうか、
と。
もしかしたら、
急に大好物の甘いものを断たれて、
空腹と焦りでイライラしている大人が、
ただ暴れているだけの心理的な反発なんじゃないか。
――もちろん、
これは専門家でもなんでもない私の、
ほんの思いつきの仮説にすぎない。
けれど、
長年甘い汁に浸かってきた人たちが、
急なカロリー制限についていけずにヒステリーを起こしていると考えたら、
日々のニュースのギスギスした空気感も、
なんだか少しだけ滑稽で、
人間臭いものに見えてきたりする。
仕組みや大人の事情の裏側が少しだけ見えてくると、
さっきまであんなに大きく見えていた不安の正体が、
だんだん小さくなっていくのが分かる。
ニュースの数字や、
誰かの焦った声に、
いちいち心をすり減らす必要なんかないんだ。
私たちの身体が正しい食事で整っていくように、
世の中もただバランスを取り直している途中なのだから。
焦らず、
急がず、
自分のペースでこの世界の仕組みをフラットに観察していこう。
そう思えた瞬間、
心の中にスーッと静かで穏やかな風が吹いた。
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